みずのわ出版


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―詳 細―

ジャーナリズムのいま
――新聞・放送・デジタルメディア、そして民衆運動の現場から

ジャーナリズムのいま
――新聞・放送・デジタルメディア、そして民衆運動の現場から

ジャーナリズムのいま

   ――新聞・放送・デジタルメディア、

        そして民衆運動の現場から


古野喜政・隅井孝雄・川瀬俊治 編著
2006年12月刊 A5判並製217頁
本体2800円+税
ISBN978-4-944173-43-3
装幀 林哲夫





韓国と日本の言論状況から学びあえるものは何か、日本の放送・新聞・インターネットメディアの現状と課題は何か――など、 現場からのレポートを集めた。2004年夏、新聞労連近畿地連などが組織した韓国と日本の言論状況を問うたシンポ 「民衆運動の現場から日韓メディアの課題を問う」の全記録、2005年1月来日した呉連鎬(オ・ヨンホ=韓国・オーマイニュース社長) の講演「大統領を作ったメディア・韓国オーマイニュース」も収録。


[目次]

刊行にあたって 川瀬俊治

第1章 韓国・言論改革運動に学ぶ
古野喜政 独裁と闘った韓国の記者たち――日本のマスコミの現状告発のために
川瀬俊治 韓国・言論改革運動の歴史と現在
孫錫春 盧武鉉政権と言論改革

第2章 NHK“改革”とデジタル化でゆれる放送メディア
隅井孝雄 NHKの改革と再生は果たして可能か
河野慎二 デジタル化は放送メディアに何をもたらすか

第3章 新聞メディアの現状と課題
大塚圭一郎 繰り返される報道被害、錬金術師の片棒を担いだ過ち
松元剛 沖縄・基地ジャーナリズムの立ち位置
山成孝治 小事にこだわる小記者としての生き方

第4章 インターネットメディアの現状と課題
呉連鎬 大統領を作ったメディア 韓国オーマイニュース
森類臣 インターネットメディアの日韓比較

第5章 韓国・民衆運動に学ぶ
孫錫春 韓国・言論改革は何をめざすか――韓日言論の課題
孫錫春・郭辰雄・鍬本文子・藤森研・明珍美紀 民衆運動の現場から日韓メディアの課題を問う



[執筆者一覧](50音順)

呉連鎬――オ・ヨンホ
1964年韓国谷城郡生。88年延世大学国文科卒業後、月刊誌「マル」に記者として入社、99年まで取材部長として勤務。その間95年3月から97年10月までワシントン特派員。97年米国リージェント大学でジャーナリズム修士号を取得。西江大学博士課程修了。2000年2月「オーマイニュース」創設。2005年1月現在、67人の社員と3万6000人の市民記者を抱える。著書『オーマイニュースの挑戦』(大畑龍次・大畑正姫訳、大田出版、2005年)など。

大塚圭一郎――おおつか・けいいちろう
1973年東京都生。97年東京外国語大学フランス語学科卒業。共同通信社に記者職で入社。松山支局を経て、大阪支社経済部でマイカル経営破綻やJR福知山線脱線事故などを取材後、2006年5月から編集局経済部。共同通信労働組合関西支部副委員長、新聞労連近畿地連副執行委員長(現編集顧問)を歴任。月刊誌等に経済関連の記事を多く発表しているほか、Z会のメールマガジン「社会をよみとくキーワード」を連載中。

郭辰雄――カク・チヌン
1966年、大阪生まれの在日コリアン三世。89年神戸学院大学経済学部卒業。90年より「在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会」に勤務。90年10月に在日韓国民主人権協議会の結成に参加し、事務局長を務める。2004年から(特活)コリアNGOセンター運営委員長。主に在日外国人の人権問題、日韓市民・NGO交流事業などに取り組む。2006年からは大阪弁護士会市民会議委員も務める。

川瀬俊治――かわせ・しゅんじ
1947年三重県生。大谷大学仏教学科卒業後奈良新聞入社、工務部勤務をへて編集記者、84年退職、84-99年解放出版社編集部員、99年退職、以降嘱託。インターネット新聞「ジャーナリスト・ネット」代表、自由ジャーナリストクラブ世話人、大学非常勤講師。訳書『言論改革――韓国・新聞権力の世論支配に挑む』(孫錫春著、みずのわ出版、2004年)、著者『夜間中学増設運動』(たいまつ社、1978年)、『もう一つの現代史序説――朝鮮人労働者と「大日本帝国」』(ブレーンセンター、1987年)、論文「紀元二六〇〇年祭と朝鮮人建国奉仕隊」(『戦争責任研究』2006年春号)など。

鍬本文子――くわもと・ふみこ
「●●(イルム)…なまえ」製作・上映実行委員会専従として聖和社会館に勤務し、館長(1990-2002年)。大阪市生野区で、在日韓国朝鮮人の差別解決に向けた地域運動に取り組む。現在はケアマネージャとして在日高齢者の介護に当たっている。1983年「外登法の抜本改正を勝ち取る生野八者共闘」を結成し、外国人登録法の抜本改正運動・指紋押捺拒否者の支援を行う。大阪外登法問題交流会に参加し、88年事務局長就任。

河野慎二――こうの・しんじ
1937年愛知県生。61年早稲田大学第一政治経済学部卒。同年、日本テレビ入社、報道局報道部記者として、司法、国会、大蔵、外務などの記者クラブに所属し、社会、政治、経済問題の取材などを経て、社会部長、日本テレビニュースネットワーク機構事務局長、メディア開発部長などを歴任。その間日本テレビ労組委員長。のち、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ1969)副社長、テレビ新潟調査役などを経て、現在I&SBBDOシニアアドバイザー。日本ジャーナリスト会議運営委員。

隅井孝雄――すみい・たかお
1936年東京生。58年国際基督教大学(ICU)教養学部卒。同年日本テレビ入社。編成部、広報部を経て外報部記者。86年NTVインターナショナル社長(本社ニューヨーク)、のちNTVアメリカ社長兼務。99年京都学園大学教授(マスメディア論)。現在龍谷大学講師(国際ジャーナリズム論)、NPO京都コミュニティーFM副理事長、日本ジャーナリスト会議代表委員。

孫錫春――ソン・ソクチュン
1960年韓国忠清北道忠州生。延世大学哲学科卒業、高麗大学政策大学院卒業。「東亜日報」記者時代、社主を批判し、編集局の民主主義を提起、「ハンギョレ新聞」労組委員長、同論説委員、言論改革市民連帯共同代表など歴任。現在「ハンギョレ」企画委員、「新しい社会を開く研究院」院長(2006年3月開設)、延世大学新聞放送学科客員教授。編著者に邦訳されている『世論を読む革命』(2000年)のほか、『金持ち新聞、貧しき読者』(2002年)、『過激にして愚骨な人間告白』(2006年)、翻訳出版の計画がある小説三部作の一つ『美しい家』(2000年)などがある。最近の「ハンギョレ」コラムでは、2006年11月29日に出された南北報道人共同声明について論じた。

藤森研――ふじもり・けん
1949年東京生。74年東京大学法学部卒、朝日新聞入社。東京本社社会部で司法、教育問題などを取材。86年から朝日ジャーナル編集部で霊感商法追及キャンペーンや昭和の終焉を報道。名古屋、東京社会部各次長、論説委員などを経て、現在編集委員。93年からの新聞労連委員長時代に日韓ジャーナリスト交流をスタートさせた。共著に『報道の自由と人権救済』(明石書店、2001年)など。

古野喜政――ふるの・よしまさ
1936年九州生。60年京都大学法学部卒。毎日新聞大阪本社社会部勤務の後ソウル特派員(1973-76年)として金大中拉致事件、文世光の大統領狙撃事件、早川・太刀川逮捕事件など激動の韓国を取材。社会部長、編集局長、常務取締役西部本社代表。スポニチ専務。著書『ソウルの華麗な憂鬱』(共訳、国書刊行会、1977年)、『韓国現代史メモ』(幻想社、1981年)など。近著に『金大中事件の政治決着――主権放棄した日本政府』(東方出版、2006年)。現日本ユニセフ協会大阪支部副会長など。

松元剛――まつもと・つよし
1965年沖縄県生。駒澤大学法学部卒。琉球新報社入社。政経部で二度の基地担当、編集委員などを経て、現整理部副部長。2002年の連載企画「軍事基地と住民」で新聞労連ジャーナリスト大賞、2004年の日米地位協定改定キャンペーン報道で、日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞大賞、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞など受賞。共著に『ルポ 軍事基地と闘う住民たち』(NHK出版、2003年)、『検証 地位協定――日米不平等の源流』(高文研、2004年)など。

明珍美紀――みょうちん・みき
1986年毎日新聞入社。北海道報道部、生活家庭部などを経て現在、社会部。2003-04年、新聞労連委員長。北海道時代にロシア・サハリンの残留日本人、韓国・朝鮮人の問題に出合ったのを機に戦後補償や平和、戦争の問題などを取材。新聞労連では各地で「市民とメディアプロジェクト」を企画。共著に『検証 日韓報道』(大村書店、1995年)、『がんに負けない』(毎日新聞社、2004年)など。

森類臣――もり・ともおみ
1979年生。現在、同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程在籍。論文「オルタナティブ・メディアの日韓比較――『ハンギョレ』『オーマイニュース』を中心として」(同大学院修士論文、2006年)、PETER PHILLIPS & PROJECT CENSORED, CENSORED 2007 The Top 25 Censored Stories, :SEVEN STORIES PRESS, 2007,"Chapter 13: Japan's News Media-Voice of the Powerful, Neglecter of the Voiceless " by Tomoomi Mori など。

山成孝治――やまなり・こうじ
1964年東大阪市生。大阪大学文学部卒、毎日新聞社入社。岡山支局、奈良支局橿原駐在、社会部木津駐在などを経て、現在、学芸部に在籍。共著『タカノマサオとは何か――夜間中学の革命児か、敗残者か』(みずのわ出版、1998年)。


【書 評】
神戸新聞 2007年3月11日付

見出し 日刊の言論界を比較
評者 藤岡伸一郎(「総合ジャーナリズム研究」編集長、関西大学教授)

 この国、日本のジャーナリズムは「いま」大いに剣呑である。
 ジャーナリズムが社会の中で、その機能をまっとうに果たしているとはとても言えないからだ。言論機関、ジャーナリズムを支えるものが外側から(さらに内部からも)失われがちだから機能しない。
 機能・社会的役割、あるいはミッション(使命)とは、ひとつ民主的な自由な言論空間(言論・表現の自由)の実現だとしよう。つまり、批判の自由、反論の自由、もっと平たく言えば文句を言う自由(この際、賛同の自由は問題にしないでいい)、その確保だ。
 これを支えるもの。新聞社でも、放送局でも出版社でもない。究極的にはまぎれもない、私たち市井の民、市民である。
 彼の国、お隣の韓国では市民(民衆)が言論の自由のために、志ある言論人を支え、ともに闘い、それを勝ち取ってきた。
 この国、日本はどうか。与えられた言論の自由。いまだそこを抜け出せていないのではないか。本書は彼我の視点でそこを厳しく問うていく。
 1988年、一般の市民に株の購入をよびかけ、世界でも類を見ない国民株主の「ハンギョレ」新聞が創刊される(6万人を超える株主が支え、社長、編集局長は選挙。およそ60万部を発行)。
 2000年には“すべての市民は記者である”を基本理念にインターネット新聞「オーマイニュース」が立ち上がる。
 80年代以降、韓国で繰り広げられた民主化運動、言論民主化闘争があった。ここをくぐりぬけ、社会をリードしてきた世代(「三八六世代」と呼んでいる、60年代生まれでいま30-40歳代)が、こうした言論を支えている。そこになにより「準備された市民」がいた。自由な言論を渇望する市民層だ。
 本書は彼の国、韓国の言論人(孫錫春・ハンギョレ前論説委員/呉連鎬・オーマイニュース社長ら)の日本での講演、シンポジウムや論考を軸に、日本の新聞・放送ジャーナリズムの現場に照射させて考えさせる。この国の言論期は大丈夫か、支えるものを見失うな、と。



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