みずのわ出版


本拠地 ・ 山口県周防大島の出版社、です


―詳 細―

歸らざる風景 ――林哲夫美術論集

歸らざる風景 ――林哲夫美術論集
歸らざる風景

   林哲夫美術論集


林哲夫 著
2005年3月刊
A5変形判上製197頁
本体3000円+税
ISBN978-4-944173-29-7
装幀 林哲夫




画家としてだけでなく、装幀家、文章家、さらには本を散歩する雑誌=wsumus』編集人として幅広い活動を手掛ける林哲夫による、初めての美術論集。

・装幀はもちろん著者・林哲夫による
・不思議な板紙の書套(カバー)
・検印2種(色と印章の組み合わせは全部で6種類)
・1冊1冊異なるオリジナルしおり挟み込み
・奥付の表記は全て旧漢字。版元住所も旧表記(神戸市葺合区)

[用紙]
書套 裏白チップ53K
表紙 タント 四六判Y目 S-3 70kg
見返 タント 四六判Y目 S-4 100kg
扉  タント 四六判Y目 Y-6 100kg
本文 淡クリーム琥珀 A判T目 46.5kg

[著者]
林 哲夫(はやし・てつお)
1955年香川県生。武蔵野美術大学卒業。画家。装幀、画業のかたわら同人雑誌『ARE』『sumus』を編集する。著書『林哲夫作品集』(風来舎)、『古本デッサン帳』『古本スケッチ帳』(青弓社)、『喫茶店の時代』(編集工房ノア)、『読む人』(スムース文庫)。共著『誤植読本』(東京書籍)、『ニッポン文庫大全』(ダイヤモンド社)、『少々自慢この一冊』(EDI)など。


[目次]

 のぞく画家 フェルメール
 マルメロの陽光
 抱擁について
 クリストを包むもの


 吹き出すことば
 手本というカン違い
 美術教室あるいは警告されたドブネズミ
 図録考
 ソーラーパワー 銅鉾紋様考


 死の器 論外写真論(壹)
 写真はどこだ! 論外写真論(貳)
 群盲、象を撫でる 論外写真論(参)


 若冲展墓
 魯山人味道をしゃぶる


 柳瀬正夢「漫画新東京」
 劉生のパレット
 劉生の見た京都画壇


 歸らざる風景 洲之内徹論
 渇愛の眼差し 洲之内徹の女性像を読む


 XXXX 松本竣介のサイン
 南北書園の松本竣介
 佐伯祐三とパリのカフェ


 画廊喫茶遍歴
 値打ち


「あとがき」より

 洲之内徹をよく知る、ある女性が、かつて同人雑誌に発表した「帰らざる風景」を読んで、その感想をこう洩らした。
「林さん、占い師みたいだわネ……」
 一瞬、どういう意味なのか解しかねた。さらにいろいろと話してみるうちに、どうやら、洲之内本人を知りもしないくせに、けっこうズバリと当たってるじゃない、そういうようなことらしい。
 これは無論、ほめられたと取るべきなのだろうが、どうも素直に喜べないような気がする。
 例えば、洲之内の人となりを知り、著作を隈なく吟味し、生地や関連する土地を踏査し、さらに血縁者や交友関係者らに詳しく話を聞いて廻る、こういう地道な土台の上に組み立てられた構築物こそ、洲之内徹論のあるべき姿であろう。そんな努力をひとかけらもせずに、一部の著作や他人の書き物をあれこれあげつらったような記事をでっち上げただけで、もしわずかでも洲之内徹の本質に触れられたとするならば、それはもう天空の星を見て地震の発生を的中させるような仕業にちがいない。一つや二つまぐれ当たりがあるにせよ、ないにせよ、占い師と呼ばれて当然であろう。
 洲之内についてのみならず、本書に収めた大方の文章はそういった類の作物である。研究とか学問という場所からはほど遠いもので、「美術論」なる一語を副題に加えたのも、考えてみれば烏滸がましい。「論」とは「論争」を意味する。本書の意図は論争にはない。できれば、別の言葉を使いたかったが、適当なものも浮かばず、厚顔を決め込むこととした。門外漢ゆえ、常識の欠如や文献の誤読、時代錯誤的な誤りもないとは言えない。いや、きっとあるだろう。この点については読者諸賢のご叱正を戴ければと切に願うものである。
 ただし、基本的に、本書は「占い」に類するものなのだから、当たるも八卦、当たらぬも八卦、根拠希薄な論理の飛躍をごく気軽に楽しんで頂ければ、それだけで著者としては十二分に満足である。
 山崎書店の山崎純夫氏をはじめとする初出媒体の関係諸氏、単行本として纏めるという無謀を敢えて受け入れてくれた柳原一徳氏に深謝したい。
 なお、本書のタイトルが旧漢字となっているのは、その文字を明治期の出版物から複写して使用しているためである。また、厚紙の書套は松本八郎氏の考案になる。付記して謝意に換える。
 俳句をよくした古書店主、関口良雄に、読書人の性癖を巧くとらえた吟がある。願わくば本書もそのような一冊とならんことを。
   書を曝すあるところより読みふけり   銀杏子
2005年2月  著者



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