みずのわ出版


本拠地 ・ 山口県周防大島の出版社、です


―詳 細―

風の人 宮本常一

風の人宮本常一

風の人 宮本常一

佐田尾信作 著
2008年1月刊 A5判並製196頁
本体2000円+税
ISBN978-4-944173-52-5 C0095
装幀 林哲夫




旅する民俗学者をめぐる人と時代の物語。中国新聞連載「生誕百年 宮本常一という世界」を改題、大幅加筆。赤坂憲雄(東北芸術工科大学東北文化研究センター所長)、稲垣尚友(竹大工・作家)、大矢内生気(全国離島振興協議会総務部長)ら7人へのロングインタビュウ収録。

[著者]
佐田尾信作(さたお・しんさく)
1957年島根県平田市(現出雲市)生。大阪市立大学文学部卒業後、80年から中国新聞記者。2002年から2005年まで大島支局長。現在は文化部。著書に「宮本常一という世界」(みずのわ出版)。共著に「移民」(中国新聞社)「中国人被爆者・癒えない痛苦(トンクー)」(明石書店)、「なぎさの記憶2 宮本常一 旅の原景」(みずのわ出版)。広島市西区在住。


[目次]
第1章 風の人 地の人
峡北館の出会い 「古風」を守る気概
去りがたき村 精魂込めた台地
教師と教師 民話が結んだ石見人脈
記録者との四十年 忠実な伝承、励ましの哲学
佐合島への手紙 戦後の出発点、古文書借用の旅
中世の景観 豊松祭事記のあとさき
[取材ノオト]
民俗学は実感の学――「村里を行く」から「忘れられた日本人」へ

第2章 記録の海へ
一万三千日の日記 旅人の知られざる孤独
十万枚の目線 「現場」に帰る写真群
棚田の村復興支援 山古志村の原風景
支えるチカラ 資料を泳ぐ
郷里の暮らしと景観 大島学の試み
終わりなき著作集 見えてきた全体像、見えないゴール
[インタビュウ]
転換期の宮本常一を撮る 芳賀日出男(民俗写真家)
歴史家の視点と民具学 岩井宏實(国立歴史民俗博物館名誉教授)

第3章 それぞれの水脈
ひとつではない日本 越境する民俗
表現、そして探検 「歩く学問」のかたち
同時代の写真 地域を励ます目線
フードは風土 伝統食への旅
「日本の縮図」で 雨ニモマケズ
かそけき者の声音 旅人がのこしたもの
[インタビュウ]
「いくつもの日本」を見据える 赤坂憲雄(東北芸術工科大学東北文化研究センター所長)
身体性と方法論、その長き実験
 稲垣尚友(竹大工・作家)
 宮本千晴(元日本観光文化研究所事務局長)
 田村善次郎(武蔵野美術大学名誉教授)
宮本常一は生きているか 大矢内生気(全国離島振興協議会総務部長)

補章
多様なる実像 宮本常一礼讃からその次へ

【用紙/刷】
本文 ラフクリーム琥珀 A判T目 42.5kg
ジャケット リ・シマメ クリームホワイト 四六判Y目 130 kg K+DIC505/2°(PPなし)
帯  リ・シマメ クリームホワイト 四六判Y目 100 kg DIC342/1°
表紙 里紙 古染 四六判Y目 170 kg
見返 里紙 鼠 四六判Y目 130 kg




このページのTOPへ戻る




【書 評】

 

◆ 中国新聞 2008年2月24日付
[評者]柴田昌平(記録映画作家)

等身大「旅する学者」


 この本を携えて、中国山地をはじめとする日本の村々を歩いてみたくなった。開拓で築いた村、中世の面影をそのまま残す村、ダムに沈んだ村。そこには必死に生きる「地の人」たちがいた。「地の人」たちを訪ねて詳細な記録を残して歩いた「風の人」がいた。
 その「風の人」が宮本常一。戦時下に師である実業家渋沢敬三から「この戦争は負ける。戦後の日本社会の再建のために、日本全国を歩いて、そこで見聞きしたものを戦後へつなげてほしい」と言われ、全国を旅した。戦後、宮本の教えによって大勢の若者たちが地域に入り込み、調査をしながら、地域づくりに深くかかわった。
 本書は宮本が出会った人たちや教え子たちを今の時代に訪ねたものだ。著者は普段は聞くことのないこうした人たちの記憶と思いに迫ることで、知られざる宮本の人物像を浮かび上がらせる。まさに「旅する民俗学者をめぐる人と時代の物語」(帯文)である。 「宮本先生は放火魔です。消防車が来ないだけ」と笑う稲垣尚友は、「職人はいいぞ」と宮本に焚きつけられ今は竹大工を営む。「サラリーマンにはなるな」という宮本の考えのもと、民の姿と自らの接点を模索した人の激しい息づかいに圧倒されそうだった。
 宮本の古い弟子の一人に記録映画監督の姫田忠義がいる。僕はその姫田の弟子で、宮本からすると孫弟子と言えるかもしれない。僕は姫田から常々、こう教えられた。 「犬も歩けば棒に当たる、当たった出会いを大事にせよ。その時、相手を見下しもせず、へりくだりもせず、同じ目線に立て。そして飯を食う金があったら、フィルムを回せ」。全国公開中の僕の作品「ひめゆり」は、宮本から姫田へと伝わった方法論の延長にあると思っている。
 宮本が残した遺産は膨大で、著作集は刊行開始から40年近くたつが、今も完結していないという。宮本の故郷の周防大島にも3年間勤務した著者は、等身大の宮本を探り出そうとする。本書は中国新聞の連載を改題、改稿した。固定観念で語られがちな宮本像を揺るがし、その多様さを印象付ける一冊である。



このページのTOPへ戻る



ウエッブサイトから注文・問合せ