みずのわ出版


本拠地 ・ 山口県周防大島の出版社、です


―詳 細―

発掘歎異抄――親鸞を読み解く百話



発掘歎異抄

 ――親鸞を読み解く百話


渡辺郁夫 著
2008年2月刊
四六判並製327頁
本体2000円+税
ISBN978-4-944173-53-2 C0095
装幀 林哲夫





(前略)これは歎異抄の解説書ではない。解釈でもない。熱にうかされたオマージュでもなく、冷たい研究書でもない。親鸞の信仰と思想を、わが身で体得した著者が、歎異抄をタテ糸とし、親鸞思想をヨコ糸とし、自在に織りなした自然法爾の文章である。岡本太郎から魯迅まで、『キャッツ』から『ALWAYS 三丁目の夕日』まで、奔放に飛翔するイメージは一筋に親鸞につながっている。(中略)私たちの時代の新しい他力思想が、ここから始まる。画期的なエッセイだ。
(五木寛之氏の跋文より)

[著者]
渡辺郁夫(わたなべ・いくお)
1958年広島市生。早稲田大学第一文学部東洋哲学専攻卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士前期課程修了。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導了。修道中・高等学校教諭(広島市・私立)。著書『歎異抄を読む』『日と霊と火』『心の国語 中学編』『心の国語 高校編』(以上、SCL)、『こころの回廊』(みずのわ出版)他 ウエッブサイト「SCL広島精神文化研究所」http://www5a.biglobe.ne.jp/~scl/


[目次]

T 発掘歎異抄
第1話 耳の底
第2話 誓願不思議
第3話 摂取不捨
第4話 別の子細なきなり
第5話 地獄は一定すみかぞかし
第6話 面々の御はからひ
第7話 いはんや悪人をや
第8話 座ることを拒否する書
第9話 悪人正機の舞台
第10話 悪人正機の成就
第11話 悪人正機の塔
第12話 スサノオと悪人正機
第13話 失われた光を求めて
第14話 時空の囚人
第15話 塵労の中で
第16話 流行を越えて
第17話 浄土の法蔵
第18話 プラグマティストの見たもの
第19話 悪人正機と回心
第20話 角のある人
第21話 信心の角
第22話 念仏の鬼ごっこ
第23話 罪の詮索
第24話 阿弥陀仏の御客
第25話 沈まぬ船
第26話 俗より俗
第27話 浄土の電信
第28話 怪人正機
第29話 ショーの結末
第30話 不思議から不思議へ
第31話 もう一つの不思議
第32話 ゴホンと言えば
第33話 飛び込む者、落ちる者
第34話 手と角
第35話 球根の春
第36話 根の力
第37話 命の株
第38話 バウムクーヘン
第39話 みどり
第40話 魂願
第41話 猫の浄土
第42話 ジェリクルキャッツ
第43話 猫の思い出
第44話 かぐや猫
第45話 愛の子として
第46話 「ヒロシマ・キャッツ」
第47話 最後の三人
第48話 剣と櫛
第49話 浄土にいちばん近い島
第50話 おかる岩
第51話 浄土にいちばん近い岸
第52話 名前のない猫
第53話 私にさわって
第54話 もう一つの「メモリー」
第55話 思い出と希望
第56話 どちらが先か
第57話 黒い壺
第58話 嬉し悲しの
第59話 空中ブランコ
第60話 水車と観覧車
第61話 遊園地の浄土教
第62話 穴
第63話 浄土の招き猫
第64話 蘇る眼差し
第65話 眼差しと夕日
第66話 酉は酉でも
第67話 辛酉縁起
第68話 辛酉続々
第69話 辛酉と女性
第70話 辛酉の温故知新
第71話 本願関数
第72話 本願円成
第73話 名に隠されたもの
第74話 合掌の里
第75話 切り妻から
第76話 「ALWAYS」
第77話 二つの少子化
第78話 憶良の「ALWAYS」
第79話 「すゑとほりたる」もの
第80話 浄土の感謝
第81話 白骨の太陽
第82話 神話のふるさと
第83話 施餓鬼にて
第84話 二つの太陽
第85話 大仏
第86話 二人の仏弟子
第87話 最後の仏弟子
第88話 無碍の一道
第89話 大宇宙の中の仏達
第90話 無碍の信心
第91話 礎と道
第92話 隠れの中に
第93話 非行非善
第94話 「ヒロシマのALWAYS」
第95話 「浄土のALWAYS」
第96話 ナミダの中のアミダ様
第97話 やって来るもの
第98話 一切経の本願
第99話 浄土の続編
第100話 方向転換

U 書評
『私訳歎異抄』五木寛之 著
『スウェーデンボルグを読み解く』日本スウェーデンボルグ協会 編

V 『歎異抄』原文
『歎異抄』原文(第十章まで)

【用紙/刷】
本文  淡クリーム琥珀 四六判Y目 72.5 kg
ジャケット 里紙 古染 四六判Y目 130kg K+DIC311/2°(PPなし)
帯    里紙 古染 四六判Y目 130kg DIC356/1°
表紙  里紙 栗 四六判Y 170kg
見返  里紙 すみ 四六判Y 130kg



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【書 評】

[著者に訊く]
中国新聞 2008年2月11日付 洗心面

悪人正機 深層読み解く
「発掘歎異抄」刊行
浄土教研究者 渡辺郁夫さん

 ■「太陽の塔」に共通項
「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」で知られる「悪人正機」説。親鸞の教えの神髄だが、修道中高教員の渡辺郁夫さん(50)=広島市安佐南区緑井=は、新著「発掘歎異抄」の中で岡本太郎の「太陽の塔」や妙好人浅原才市の「角」などを通じて読み解いてみせる。「普通は違うように見えるものの中に共通項があった」と語る。(佐田尾信作)

 浄土教研究者で、洗心面連載「こころの回廊」(2006年)筆者の渡辺さんが、一九九七年から十年間、雑誌などに連載したエッセー百本をまとめた。「親鸞を読み解く百話」と副題を付け、最も熱く語るのが「悪人正機」説。「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の一文で始まり、世間の反論こそ本願他力の教えに反している、と述べるくだりだ。
 渡辺さんはまず、親鸞の問いを「強烈な直下型地震」に例える。親鸞は相手の足元を揺さぶる。「いづれの行もおよびがたき身なれば、とても地獄は一定(いちじょう)すみかぞかし」(「歎異抄」第2章)。これを「あなたがたは地獄に落ちたくない一心で念仏しているかもしれないが、自分は地獄から出発している」と訳した。そこからかねて関心を寄せる岡本太郎を通じ、悪人正機を探る。

 ■時代超えたもの
 たとえば、歴史家奈良本辰也と太郎の対談。奈良本が支配・被支配の問題として「あの時代の悪人は…」と定義したのに対し、太郎は「そんなことか、至極当たり前なんだなあ、もう少し弁証法的なテーマかと思った」と答えたという。奈良本は悪人正機を時代思想と考えたが、太郎はむしろ時代を超えたものを感じ取った、とみる。
 太郎には「座ることを拒否する椅子」という作品があるが、「歎異抄」もまた「読者が一つの解釈に居座ることを拒否する書」である―。渡辺さんはこう考え、さらに解釈が分かれる太郎の大阪万博の作品「太陽の塔」は「悪人正機の塔」でもある、と読み解いた。
 つまり、太陽の塔の黄金の顔は阿弥陀如来、その下の白い顔は仏弟子としての人間、裏側の黒い顔は悪人―。渡辺さんは「あらゆる人間の持つ三つの顔を表していたのかもしれない」と読み、大阪万博のテーマ「進歩と調和」といった時代思想について、「そんなことを考えていたら時代を超えた根源的なものは表現できなかっただろう」とあらためて思う。

 ■「角」にこだわり
 渡辺さんは「角」にこだわる。「角を矯めて丸くしたり、角を消すのは善人の生き方だろう。そうすれば社会は受け止めてくれるだろう。しかし親鸞は社会にではなく、世界に抱き取られることを求めた」。温泉津(現・大田市)の妙好人才市は自身の肖像画に角を描き加えさせた。太陽の塔の「手」は世界に突き出された角を思わせる。
 渡辺さんは「歎異抄は挑発する。ものごとを考えることなしには読むことができない」と言う。「発掘歎異抄」はミュージカル「キャッツ」「オペラ座の怪人」、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などにも題材を取り、旅から得た多くの見聞から想像力を働かせ、その「挑発」を受け止めている。

 「発掘歎異抄」は四六判・327ページ、2100円。神戸市・みずのわ出版刊。作家五木寛之さんが跋文「呪縛をとき放つ新しい風」を寄せている。みずのわ出版Tel078(242)1610=ファクス兼用。

 【歎異抄】
 親鸞(1173-1262年)没後、門弟の唯円が自ら聞いた親鸞の言葉に基づいて異義(異端教義)を批判した書。「悪人正機」は第3章で説かれ、梅原猛全訳注「歎異抄」(講談社学術文庫)によると、冒頭のくだりは「善人ですら極楽浄土へ行くことができる。まして悪人は極楽浄土へ行くのは当然ではないか」と現代語訳されている。



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