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調査されるという迷惑 フィールドに出る前に読んでおく本

宮本常一・安渓遊地 著
2008年4月刊
2024年4月、増補版出来予定
A5判118頁 ペーパーバック
本体1000円+税
ISBN978-4-944173-54-9 C0339
装幀 林哲夫
帯写真 宮本常一(1907-1981)
       1977年12月、東京都府中市の自宅前にて(撮影=宮本千晴)
価格 <% total_price.toLocaleString() %> 円(税込)
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「調査されるという迷惑 増補版」4月8日発売!
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「あれでは人文科学ではなくて訊問科学だ」――旅する民俗学者、宮本常一の言葉を受け止めた、フィールド・ワーカーの実践

[はじめに、より]
 地域の文化や暮らしの智恵を学ぶために、実際に地域にでかけ、地元の方々を先生として地域を教科書に五感のすべてを駆使して学ぶことをフィールド・ワーク(野外調査)と呼びます。
 このブックレットは、日本国内でのフィールド・ワークをめざす人たちに、調査計画を立てて出発するまでにわきまえておいてほしいことをまとめたものです。  序章として、研究者の卵であった安渓遊地が晩年の宮本常一先生からいただいた励ましの言葉を置きます。この本が生まれた背景の説明にもなっているはずです。
 周防大島に生まれ、研究者としてこの人ほど多く日本の各地を歩いた人はないだろうといわれた希有のフィールド・ワーカーであった宮本常一先生が、調査される側の様々な迷惑について、たくさんの例をあげながら指摘された文章を第一章に置きました。地域の人々の仲間として胸襟を開いて語り合えた宮本常一先生ならではの語りです。
 以後は、宮本先生の「調査地被害」というものの見方に触発されて、日本の南の島々でのフィールド・ワークでの経験を安渓遊地が語ります。第二章は、ある南の島では調査される側の様々な迷惑が今も続いていることが生々しく語られます。第三章は、沖縄の復帰とともに押しかけた人々に対する島びとの言葉集です。第四章は、西表島を例にとって、学問と地域への愛のバランスについて、大学でのフィールドワーク論の講義を再現します。第五章は、話し手やその子孫の当事者主権行使の事例紹介です。第六章は、マスコミによる「やらせ」の被害経験の語りです。そして第七章は、日本民族学会(文化人類学会の前身)での会員アンケートの結果を安渓遊地が学会の研究倫理委員会(第二次)の委員のひとりとしてまとめたもので、「調査する側」「される側」という固定した対立関係を「ともに仲間となる」新しい地平へ向けて解き放つ道についての提案です。
 このブックレット作成にあたっては、宮本先生のご長男の宮本千晴さんのご協力をたまわりました。みずのわ出版の柳原一德さんには、企画・編集・著作権処理・印刷・校正・デザイン・製本の全過程で丁寧で迅速な力添えをいただきました。
2008年2月
安渓遊地

[目次]

はじめに(安渓)
序章  宮本常一先生にいただいた言葉(安渓)
第一章 調査地被害――される側のさまざまな迷惑(宮本)
第二章 される側の声――聞き書き・調査地被害(安渓)
第三章 「バカセなら毎年何十人もくるぞ」(安渓)
第四章 フィールドでの「濃いかかわり」とその落とし穴(安渓)
第五章 種子島にて・屋久島からの手紙(安渓)
第六章 まぼろしの物々交換を知夫里島に求めて(安渓)
第七章 「研究成果の還元」はどこまで可能か(安渓)
引用文献
初出一覧
索引(フィールドでの指針として)

[編集にあたって]
第1章に収録した宮本常一「調査地被害――される側のさまざまな迷惑」は、『朝日講座・探検と冒険』七(朝日新聞社、1972年)が初出である。本書では、『旅にまなぶ 宮本常一著作集 第31巻』(未來社、1986年)を底本とした。

[著者]
宮本常一(みやもと・つねいち)
1907年山口県周防大島生。16歳の時に大阪に出て逓信講習所で学び、天王寺師範学校を卒業後、小学校教師となるも病を得て帰郷。療養中に柳田国男の『旅と伝説』を手にしたことがきっかけで、柳田、渋沢敬三という生涯の師と出会う。39年に渋沢の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、57歳で武蔵野美術大学に奉職するまで在野の民俗学者として日本全国を歩く。66年日本観光文化研究所を設立し、後進の育成に努めた。著書に『忘れられた日本人』『宮本常一著作集』(未來社)、『日本文化の形成』(そしえて)など。1981年没。宮本が遺した膨大なフィールドノートや写真等の資料は、周防大島文化交流センターに収蔵されている。

安渓遊地(あんけい・ゆうじ)
1951年富山県射水郡生。京都大学理学部学生の時、川喜田二郎氏の移動大学運動にふれてフィールドワークを志す。伊谷純一郎氏の指導で、西表島および熱帯アフリカの人と自然の研究。人類学専攻。沖縄大学教員、山口大学教員を経て、現在、山口県立大学教員。編著書に『西表島の農耕文化――海上の道の発見』(法政大学出版局、2007年)、『続やまぐちは日本一――女たちの挑戦』(弦書房、2006年)、『遠い空――國分直一 人と学問』(平川啓治と共編、海鳥社、2006年)、『やまぐちは日本一――山・川・海のことづて』(弦書房、2004年)など。山口市仁保在住。
URL http://ankei.jp

[用紙 刷色]
表紙 里紙 古染 四六判Y目170kg K+DIC36/2°
本文 淡クリーム琥珀 A判T目46.5kg
帯  里紙 古染 四六判Y目70kg K/1°

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