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一九三〇年代モダニズム詩集 矢向季子・隼橋登美子・冬澤弦

編 季村敏夫
2019年8月刊
四六判コデックス装239頁 図版64点(ほぼ全点カラー)+栞16頁
本体2,700円+税
ISBN978-4-86426-038-1 C0095
装幀 林哲夫
プリンティングディレクション 黒田典孝((株)山田写真製版所)
印刷 (株)山田写真製版所
製本 (株)渋谷文泉閣

価格 <% total_price.toLocaleString() %> 円(税込)
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はじめに(本書3~4頁収録)
 かつてあったことは、後に繰り返される。殺戮、破壊、錯誤、懺悔、その重なりのなかで、身体の刻む詩的行為の火、花、火力は現在である。
 上梓のきっかけは、一冊の同人誌と映画との出会いだった。小林武雄編集の『がく神(がくしん)』創刊号で矢向季子を知った。身震いした。映画は、日本統治下の台南の詩人を描く『日曜日の散歩者』(黄亞歴監督)。台湾を襲った地震の映像のあと、同人誌『神戸詩人』が迫ってきた。西脇順三郎らの『馥郁タル火夫ヨ』から引用があり、明るさの戻った部屋で茫然としていた。「現実の世界は脳髄にすぎない」「詩は脳髄を燃焼せしむるものである。こゝに火花として又は火力としての詩がある」、わたしはあらためて、戦時下の詩をたどりはじめていた。
 同人誌と映画との遭遇が、次から次へと出会いを導いてくれた。平坦ではなかったが、みえない数珠のつながる道のり、促されるまま従った。
 かつてあったことは、後に繰り返される。一九三〇年代後半、シュルレアリスムに関わった青年は治安維持法違反容疑で次々と獄舎に送られた。神戸詩人事件はそのひとつだが、現在である。今回編集した矢向季子、隼橋登美子、冬澤弦、初めて知る詩人だが、このラインにも、シュルレアリスムへの目覚め、総力戦、同人誌活動の終焉、モダニストの戦争詩という歴史がある。しかも三人は番外の詩人、一冊の詩集もないまま消えた。
 あるとき、ある場所で、確かに生きていたひと。詩は、息のひびき。声を出して読めば、ひとはよみがえる。生きていた場所、場所の記憶、青空に染まる歓声まで戻ってくる。
 消えてしまった、たましいをよびよせる、この集を編みながら念じていた。
(「がく神」の「がく」の漢字は環境依存文字で、パソコンによっては正しく表示されない場合がありますので、ひらがなで表記しました)

目次

矢向季子詩集抄/隼橋登美子詩集抄/冬澤弦詩集抄

「夜の声」読後感(矢向季子)/詩をよみはじめた頃(内田豊清)

内田豊清のこと/矢向季子のこと―シュルレアリスムの目覚め/隼橋登美子のこと―神戸詩人事件について/冬澤弦のこと/『神戸詩人』と台南の風車詩社について―石ほどには沈黙を知らず

初出一覧/関連年譜

栞(16頁)
天使は肉声でうたう 藤原安紀子
遠くに書く―モダニズム詩所感 扉野良人
「しんぼるの森林」に分け入る 高木 彬

編者
季村敏夫 きむら・としお
一九四八年京都市生まれ。神戸市長田区で育つ。古物古書籍商を経て現在アルミ材料商を営む。著書に詩集『木端微塵』(二〇〇四年、書肆山田、山本健吉文学賞)、『ノミトビヒヨシマルの独言』(二〇一一年、書肆山田、現代詩花椿賞)、共編『生者と死者のほとり――阪神大震災・記憶のための試み』(一九九七年、人文書院)、共著『記憶表現論』(二〇〇九年、昭和堂)、『山上の蜘蛛――神戸モダニズムと海港都市ノート』(二〇〇九年、みずのわ出版、小野十三郎特別賞)、編著『神戸のモダニズムⅡ』(二〇一三年、都市モダニズム詩誌、第二七巻、ゆまに書房)など。

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