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唯我独創の国から
2000年10月刊
A5判並製238頁
本体2200円+税
ISBN978-4-944173-09-9
装幀 林哲夫
偉人よりも、世間では畸人とされてきた人物のほうが、或いは歴史的モニュメントより、時流に取り残された「遺跡」のほうが、時代の「のぞき穴」としてはむしろふさわしく、外の景色を案外うまく映し出してくれるのではないか――。30人、25の場所を丹念に辿った、時代の「負け組」たちの物語。
目次
第1部 唯我独創の国から
第1章 疾風怒涛、時代の寵児たち
離島航路─“島酔い”と最後の聖戦 海運事業家 川畑當築
立身出世─諭吉の影を追い続け ジャーナリスト 野依秀市
リゾート開発─楼門に託した「理想郷」の夢 事業家 宮原忠直
選挙─「同情」という風を起こし 代議士 高橋権六
千里眼─「透視術」で日本中席巻 「超能力」者? 御船千鶴子
レジスタンス─噴火口は町有地なり 熊本県阿蘇町長 河崎義夫
第2章 栄光なき天才たちの肖像
ゴミ・アート─社会変えると信じた 美術家 殿敷侃
浮世絵─収集に生きる証し求めた コレクター 今西菊松
二番走者─「もう一人の佐伯」の悲劇 洋画家 横手貞美
農民演劇─「鄙」の閉塞打破へ夢追う 医師 安元知之
職人気質─料亭文化とともに消えた技 料理人 小川清
パブリック・アート─旧世代への挑戦状 彫刻家 日名子実三
島唄─路傍こそわが舞台 旅芸人 里国隆
漂白─歌壇に刃向け、野に死す 歌人 宗不旱
風狂─美に境地求めた自由人 禅者 小林雲道人
第3章 アカデミズムの傍流に乗って
血液型神話─現代に生き続ける錯覚 教育学者 古川竹二
わかる算数─最小の練習で最大の効果 数学者 遠山啓
発行物質─ホタルに、命燃え尽きて 生物学者 神田左京
焼酎─死後も抱き続けた麹菌 有用カビ研究者 河内源一郎
明石原人─消失が生んだ考古学のドラマ 博物学者 直良信夫
不平居士─唐寺に憑かれた男 郷土史家 宮田安
金魚─アカデミズム傍流の大家 水産学者 松井佳一
第4章 時代の波にのまれながら
武士道─変形した「自己犠牲」の精神 葉隠研究家 栗原荒野
戦場の武術─刀折れ矢尽き、なお闘う 柔道家 牛島辰熊
名前─少数民族としての「在日」の人権訴え 牧師 チォエ ・ チャンホア
華僑─貫いた中国人の誇り 貿易商 陳世望
潜行五千里─未踏の中央アジア潜入八年 特務調査工作員 西川一三
聖戦─ホラは吹けても神風吹かぬ 郷土史家 筑紫豊
発明考案─科学技術による「国家改造」 言論人 清水芳太郎
スポーツ─常に世界標準を意識 体育指導者 岡部平太
第2部 西日本“現代遺跡”行
第1章 現代の“遺跡”を歩く
ボタ山温泉─美しく切ない「ヤマ」の残骸 福岡県穂波町
別荘文化─湯煙に消えるガーデンシティー 大分県別府市
流転の島─開拓、無人化、石油、宇宙…… 鹿児島県・馬毛島
オレンジベルト─そして山に石垣が残った 佐賀県大和町
途絶えし祈り─商品経済が解体した信仰共同体 長崎県小値賀町・野崎島
集団離村─ふるさとは野生化し始めた 宮崎県西群市寒川
進化するビル─放埒包み込んだ「平和の象徴」 北九州市八幡東区
遊里─豪華極めた近代の「加速装置」 熊本市
九大外人宿舎─消える「お雇い」制度の生き証人 福岡県早良区
カクレキリシタン─八百万の神々とマリヤ様 長崎県
第2章 時代のうつろひのなかで
スローガン建築─田園に鎮座する新幹線公衆便所 長崎県佐々町
スクラップ─船体に刻んだ捕鯨の盛衰 山口県下関市
民芸の里─しぶとく、したたかな下手物窯 福岡県高田町
無言の語り部─田園・住宅地に居座る軍事遺構 宮崎市
廃遊園地─消えたときめき、あこがれ、歓声 北九州市小倉南区
大立て看板─原発めぐるさまざまな「希望」 宮崎県串間市
炭焼き─忘れられた国境の漂泊者 長崎県対馬
大煙突─岬の町にそびえる「世界一」 大分県佐賀関町
赤煉瓦─米軍基地のなかの「日本」 長崎県佐世保市
第3章 つわものどもが夢のあと
シルバーリゾート─「まちづくり」の町の白亜の廃墟 大分県湯布院町
白い巨塔─博覧会ブームのノッポな置き土産 長崎市
コウモリトンネル─鉄道の夢だけが走った 佐賀県唐津市
オートポリス─泡は消え、サーキット場だけが残った 大分県上津江村
ブームの墓標─あるベンチャー企業の栄光と蹉跌 福岡市早良区
酪農団地─大草原の大きな夢は…… 熊本県 ・ 阿蘇
記者ノート─北里晋、蔵本康慶、藤田中、嶋村初吉、野中彰久
あとがき─藤井通彦